フィンランド雑感

TECHNOLOG イシテクスタッフのブログ
フィンランド雑感

数年前にバルト海6か国を周遊する11日間のクルーズ旅行に参加した。大型客船のクルーズでは、乗船時の手続きは煩雑であるが,荷物を自室にほり込めば、旅行中はスーツケースの荷造りをする必要がなく、下船時に荷物をまとめるだけでよいので、高齢者には、お勧めの旅行だと思っている。また、アルコール込みの食事代も旅行費用に加算されているし、旅行中の船内での買い物もクルーズカード1枚で済ますことができ両替などで悩むこともない。

 フィンランドを観光しているときに感じたことと、その後フィンランドの近代史をつまみ読みして、考えさせられたことを報告したい。

1. テンペリアウキオ教会(岩の教会)

テンペリアウキオ教会の外観 丸屋根が少し見える
テンペリアウキオ教会の内部 岩肌が露出している

フィンランドの首都ヘルシンキの中心部からトラム(路面電車)で15分ほどの住宅街に集合住宅が円形の建物を囲むように立ち並んでいるその中央にその教会はあった。遠目には、UFOが地上に舞い降りているようにも見え、ヨーロッパでよく見る教会とは異質の独創的な外観で、大きな岩塊に建物がめり込んでいるようにも見えるユニークな構造をしていた。通称、岩の教会(ロック・チャーチ)と呼ばれている。

教会の内部は巨大な岩石がくり抜かれ石の壁が剥き出しになっていて、天井部分は円形の銅板製の屋根が設置されている。天井と岩石の間にある格子ガラス窓から差し込む天然光が教会の美しさを引き立てていた。

このテンペリアウキオ教会は、年間約50万人もの観光客が訪れるヘルシンキの有名な建築物で、募集されたデザインコンペで優勝作品とのこと。スオマライネン兄弟によって設計され、今から約50余年前の1969年に完成している。教会を案内したガイドの説明では、フィンランドの主要な建物には、必ず地下階を構築することが義務付けられている、とのことであった。この教会のように岩盤が露出しているような場所での地下階の建設は大変だなと思ったが、それも国家防衛のためと聞いて驚いた。具体的にはロシアからの侵略に対して、国民の生命・財産を守るためのシェルター装置として活用するのである。

2.フィンランド近代小史

ユーラシア大陸の極東に位置する日本にとって、フィンランドは、ロシアの西側に位置する遠い国であるが、日露戦争の結果日本が勝ったことで、帝政ロシアからフィンランドが独立するきっかけを作った。それ以来トルコとフィンランドには親日感情が強いということは有名であるが、それ以上の歴史的事象については、日本国内では情報も少なく、話題に上ることもあまりない。ただし、世界経済フォーラムが公表している『IT競争力報告書』ではフィンランドは,常に上位をキープしている。

 そのフィンランドの独立以後の歴史は、「戦争の世紀」であった20世紀の中で大国ソ連との緊張関係を強いられている。カレリア地方の帰属問題にしても大国ソ連の論理を結果的に跳ね返すことはできず、現在は領有されている。しかしながら、大国ソ連と二度に渡って激しく戦ったことで民族のアイデンティティーが強固なものとなり、勇敢に戦った歴史的事実を後世に伝えることが可能になった。もしも、戦わずにカレリア地方を手放していれば、さらにその西側の領土を要求されることになっただろうことは、想像に難くない。

 翻って、日本の北方四島の帰属問題にしても、冷戦下であった昭和31年(1956)の日ソ共同宣言には、歯舞諸島と色丹島の返還だけを記述させられているが、その当時シベリアには、まだ2000人近い日本人が国際法を無視して強制労働に従事させられていた。政治的に小国である日本は、抑留者を帰還させるための苦渋の決断だったと推測される。

今日の日本の政治家の多くは、北方四島一括返還をお題目のように唱えているが、戦わずして唱えるだけでは、「誰もいない教会で、説教を述べている神父」のように一つの魂も救うことができない。

 フィンランドからの歴史教訓に大きく学ぶ必要があるが、学校教育で教えられる近現代史では、フィンランドのカレリア地方やチベット地域などが、軍事大国の周辺で歴史的な矛盾の中に苦悩としていることを教える授業が皆無であるのは、まことに残念なことである。

坂本 良髙
技術営業部 顧問

一級建築士
技術士(建設部門)
一級建築施工管理技士
コンクリート主任技師
京都府木造住宅耐震診断士

  • 山口県生まれ
  • 京都競馬場の建設や大阪城天守閣「平成の大改修」に携わっていた。
  • オーストラリアなど海外旅行にも出かけ、日本酒よりもワイン好き!
  • 運動不足の解消のために、週一回のペースでシニア健康ボーリングに通い平均スコアは150点辺り、たまに200点を超えるとディナーに出かけます。
  • 放送大学に14年間通って、6コースすべて卒業する行動派!

 住まいのお困りごとは、なんでもお気軽にご相談ください。

1. テンペリアウキオ教会(岩の教会)

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