琵琶湖湖畔にある蘆花浅水荘(ろかせんすいそう)の見学会に参加してきました。

青空の美しいお天気に恵まれて、琵琶湖湖畔にある蘆花浅水荘(ろかせんすいそう)の見学会に参加してきました。
ここは、大正4年(1915年)から昭和8年(1933年)頃にかけて、京都画壇のスターであった山元春挙が別邸として建てた、数寄屋造りの近代和風建築で、現在は重要文化財に指定されています
大津湾岸線沿いに建つ建物は木々に囲まれて、外からは気づきにくいです。唯一、檜皮葺の門が只者ではない感を醸し出してます。裏千家今日庵にある「兜門」の写しとなります。

門を潜ると、兜門の特徴でもある、屋根がくり抜かれているのがわかります。いよいよ建物が見えてきました。
まず通されたのが主室となる撥雲亭。2畳の上段床である「残月床」が設けられています。
それにしても、床柱が細いです。しかも床の間の角ではなく、控えて立っています。
もちろん四方柾の良材ですが、主張していません。優しく客人を迎えてくれますね。


軽やか。ね、床柱を控えた理由がわかるでしょう?落し掛けの角を落としたことも含めて、意図が伝わってきます。

今回のお気に入り、その1。
床框は絞り丸太で上面が朱色に溜塗されています。さりげなく手を加えられているのがたまりません。どこかで使おうかな。
衣紋掛け?のような照明はオリジナルです。近代和風の建築では照明や家具までデザインされていることがよくあります。ちなみに天井板は木目が詰まってうねる様な薩摩杉。


長い。庭に面した一間巾の入側の天井は圧巻の舟底式。長いだけでなく、丸太は一本もの。
そんな長木を、柱で受けずに天井裏から吊っています。周囲に廻した欄間で浮遊感が最高潮に達します!


離れからの庭の眺め。かつては奥の木々のところまで琵琶湖だったそう。
手前の石畳は小川の跡で、離れの下から水が湧き出していたとか。
波の音、せせらぎの音。
今は車の音しか聞こえませんが。
今回のお気に入り その2。
無尽蔵と名付けられた、たった一畳の座敷。
全てが少しづつ小ぶりに作られているので、狭さは感じず、むしろ身に纏うような心地よさがあります。春挙の書斎。


無尽蔵の一畳の座敷の反対側。
iPadの威力。明るく撮れていますが、実際は薄暗いです。その暗さが集中力を研ぎ澄ませていたのかもしれません。
竹尽くし。くどくならないのは流石の一言。スッパリ斜めに切り取られた琵琶台が引き締めています。守破離の離。


直筆の竹と中庭の竹。窓から飛び込んだ雀が襖に留まっています。竹は屋根より高くならないよう切りなさい、春挙の言葉が今も生きています。

2階応接室は一転して洋室。西洋そのままではなく、あくまでも洋風です。
和とか洋とかでなく、春挙という「人」を家や絵から感じることができました。

蘆花浅水荘
滋賀県大津市中庄一丁目19-23
TEL 077-522-2183
アクセス:京阪電鉄/石山坂本線 「瓦ヶ浜」 下車 徒歩 5分車
名神大津ICから約15分。駐車場・湖岸道路「中の庄1丁目」の信号の有料駐車場へ。
見学は要予約。