現代美術館「ブルス・ドォ・コメルス」

現代美術館「ブルス・ドォ・コメルス」

2024年秋に街開きした「グラングリーン大阪」に行ってきた。JR大阪駅北側の「関西最後の一等地」と呼ばれた貨物ヤード跡地にできた新たな街で、北街区、南街区、うめきた公園の3つのエリアで構成されている。うめきた公園ノースパークの「V.S(グラングリーン大阪)」で開催されている『安藤忠雄展 青春』を覗いてみた。大阪に生まれ、独学で建築を学び、建築設計活動をスタートした安藤忠雄は、既成概念を打ち破る斬新な建築作品を次々と世界に送り出し、現在も大阪を拠点にして旺盛な活動を続けている。その壮大な挑戦の軌跡について、初期作品である「住吉の長屋」の模型・設計図面から現在進行形の作品群まで模型・スケッチ・映像等を駆使して集約し、展示していた。展示方法もユニークで立体映像空間でのバーチャル空間体験や会場内に原寸大で蘇る「水の教会」の映像空間は圧倒的な迫力があった。

それらの作品中で特に興味深く印象に残ったブルス・ドゥ・コメルス」について報告する。この建物「ブルス・ドゥ・コメルス」は、パリの元金融商品取引所であった建物を安藤忠雄が設計監修し、リニューアル工事を施工して、2021年5月にパリでオープンした現代美術館である。

兵庫県立美術館 Ando Gallery

建物外観・外装については、1763年に穀物取引所として建てられ、使用されていたが、1889年(エッフェル塔が建設され、パリ万博が開催された年)に丸天井を再構築し金融商品取引所として活用した当時のままである。古代ローマのパンテオンの様に直径35m強の円筒形をした建物には、半球状の上部はガラスのドームが設けられ、ドーム下部の天井壁部には、円形全周に渡って帆船による世界貿易の様子が装飾的に描かれている。

内部の現代美術館の建物概要は、以下の通り。構造は、鉄筋コンクリート造であり、地下1階はスタジオおよび多目的ホール、1階~3階には10室の展示室があり、最上階の4階はカフェレストランとなっている。この美術館の特徴は、円筒形建物の内側に直径29m×高さ9mの円筒形シリンダーを設置していることである。シリンダーの外側に沿って設けられた階段と通路で1階から3階に渡って10室の展示室がつながっている。最上階まで登りきると、1889年に描かれた天井壁画が目の前に展開する。

また、円筒形のシリンダーを上部から覗き込むことができる。神殿のような円形の歴史的建造物と新しく築造されたコンクリート製の円筒が緊張感を持って対峙している様を俯瞰することが可能である。展示された作品と共に建物内部に築造された工作物も芸術作品として鑑賞することができる美術館になっている。

機会があればパリを訪れ是非、現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」に足を運び、円筒形のシリンダーをこの眼で確かめてみたい。

兵庫県立美術館 Ando Gallery ブルス・ドゥ・コメルス模型

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