目標は、上部構造評点1.0以上の耐震化!おばあちゃんから娘さん、お孫さんまで3世代家族が無理せず、安心して暮らせる家に

おばあちゃんの安心も、 今の私たちの暮らしやすさも、 どちらもあきらめない耐震リフォーム事例
おばあちゃんから娘さん、お孫さんまで
3世代家族が無理せず、安心して暮らせる家に
DATA
場 所:京都府長岡京市
築年月:1977年 (築48年 2025年現在)
構 造:木造2階建て
家族構成:おばあちゃんと娘さん姉妹
お孫さん二人の5人暮らし
お客様のご希望
・大地震の時に、家族の命を守れるか心配
・家族が戻ってくるタイミングでリフォームしたい
・補助金を活用して、予算内に収めてほしい

「新築みたい」ではなく「ずっとこの家だったみたい」な仕上がりに
・ おばあちゃんが安心して歩ける動線
・ 家族みんなが気兼ねなく暮らせる工夫
・ 家の雰囲気を残した、やさしいデザイン

POINT1 家族の命が最優先!災害に強い家づくり
安心を形にする耐震計画
目標は、上部構造評点1.0以上の耐震化です。診断では、筋交いは目視できなかったため対象外とし、無筋の布基礎や過去の補強状況も丁寧に確認しました。精密診断法1を用い、低コスト耐震補強の手引きを参考にしながら、リフォーム部分を中心に壁補強を計画。
結果として、上部構造評点1.03を確保することが出来ました。



安心のための二度の詳細な調査
残されていた確認申請図書や耐震診断書をもとに、現状との照合と耐震診断を行いました。改修計画に合わせて床下や基礎、小屋裏まで丁寧に確認したところ、図書とは異なり基礎に鉄筋が入っていないことや、アンカー設置時と思われる欠損も見られました。
こうした状態を踏まえ、この家に合った、無理のない耐震計画を整えました。

基礎と土台の丁寧な補修:職人が床下に潜って作業しました。


水回りの湿気で、ボロボロに傷んだ土台を補強
湿気の多い、風呂やトイレの床下は、木部が腐ったり、シロアリの被害を最も受けやすいところです。
まずは、傷んだ木部を削り取り、補強のための鉄筋を忍ばせてから、エポキシ樹脂を使って補強しました。この技術は、私たちが、重要文化財の清水寺の舞台や東本願寺の御影堂の補修・補強工事でも施工している技術です。


基礎のコンクリートに大きな穴が開いていました。
基礎は、普段見えない部分なので、定期的な点検が大切です。長い間大きな家を支えているので、傷んでいることが多く見られます。
まずは、コンクリートの表面をきれいに掃除した後に、補修箇所ごとに適切な工法と材料を選んで、一つひとつ丁寧に補修しています。


基礎のコンクリートがひび割れていました。
ひび割れの補修は、ひび割れの大きさに合わせて、粘度の違うエポキシ樹脂の中から適切に選び、左の写真の様な注射器型の器具を使い、数時間かけてゆっくりと注入します。
場合によっては、数種類のエポキシ樹脂を順に注入して小さなひび割れの奥深くまでしっかりと注入しています。
基礎の耐震補強:SRF工法
SRF工法は、ポリエステル繊維製のベルトやシート(高弾性補強材)をウレタン系一液無溶剤(高弾性接着剤)で、貼り付けるので、粉塵、振動、臭気、騒音はほとんど発生することがなく、工期も短いことから、居ながらの工事が可能な耐震補強工法です。
また、私用する接着剤には刺激臭がなく、シックハウス症候群の原因物質の一つであるホルムアルデヒドを含みません(F☆☆☆☆)。
しなやかな高弾性補強材は、基礎が地震で繰り返し変形しても、鉄のように、コンクリートや木材を傷つけることのない、人と建物に優しい補強工法です。

SRF工法による基礎の補強工事手順




壁の耐震補強:構造用合板を使った耐震壁の配置


断熱材を入れてから、構造用合板で耐震壁を造る
耐震壁の設置には、バランスが大切です。何度も構造計算とシミュレーションを重ね、適切な位置の壁を耐震補強しています。


基礎のコンクリートがひび割れていました。
ひび割れの補修は、ひび割れの大きさに合わせて、粘度の違うエポキシ樹脂の中から適切に選び、左の写真の様な注射器型の器具を使い、数時間かけてゆっくりと注入します。
ひび割れによっては、数種類のエポキシ樹脂を順に注入して小さなひび割れの奥深くまでしっかりと注入しています。
POINT2 3世代のみんなが暮らしやすい提案

シルバーカー置き場を玄関脇に
以前は、狭い玄関にシルバーカーを入れるたび、段差が負担になっていました。そこで玄関脇に、道路からゆるやかにつながるスロープと庇のある、シルバーカーの置き場を設けることをご提案しました。
室内には手すりも取り付け、雨の日も安心して出入りできる玄関になりました。

近くて安心、便利なトイレに
夜中や体調がすぐれない時、玄関脇のトイレまで行くのはとても負担でした。生活の中心であるリビング・ダイニングの近くに移すことで、移動が楽に。
階段下のデッドスペースを活かした配置で、家族みんなが使いやすくなりました。

あの寒さ暑さの原因は窓でした
目サーモカメラで室内を確認すると、熱が逃げやすいのは窓だと分かりました。そこで防音効果も高い内窓を、補助金を活用して設置。
外の音を抑え、夏は涼しく、冬は暖かい、季節を通して快適で省エネな住まいになりました。


家族5人になっても安心 ♪ その1
大容量ウオーク in クローゼット
玄関を入ってすぐの場所に、3世代5人分がしっかり収まる大容量のウォークインクローゼットを設けました。
子どもたちの遊び道具や、家族みんなの靴や上着もまとめて収納でき、出入りのたびに片づく、頼もしいスペースです。
家族5人になっても安心 ♪ その2
2階にもトイレと洗面所を設置
家族5人、トイレや洗面所の朝ラッシュが心配ですよね。
そこで、押し入れと、廊下のデッドスペースを活用して、トイレと洗面所をもう一か所設置することを提案しました。
また、その工事を活用して、2階の耐震補強も行いました。
担当者より
今回の住まいづくりでは、まず「耐震」についてお話ししましたが、設計で特に大切にしたのは、「三世代同居」におけるプライバシーとバリアフリーの確保でした。日々の暮らしの中で、家族みんなが安心して過ごせること、そして予算を守ることを何より重視しています。その上で、「上部構造評点1.0以上」を実現することは、設計者としての矜持だと考えました。
工事では、解体後に土台の腐朽が見つかりましたが、これまで培ってきた「先端技術で安全と安心を創造する」力を活かし、速やかに対応することができました。
ご家族が大切にしてきた住まいの雰囲気をどう残すか、収納棚の数や位置など、細かな部分まで一緒に考えられたことは、私たちにとっても貴重な経験です。今後も、引越し後の家具固定などを通じて、引き続きご家族に寄り添っていきたいと思っています。

一級建築士 冨田
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